成年後見人の手続きは自分でできる?申立てに必要な書類や手順などを解説

成年後見人の手続きは自分でできる?申立てに必要な書類や手順などを解説

目次

成年後見制度の利用を考えている人の中には、「自分で手続きを行うことはできるのだろうか」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

成年後見人の手続き自体は自分で行うこともできますが、書類の準備や申立て手続きなど、いくつかの手順を踏む必要があります。

そこで今回の記事では、成年後見制度の申立て手続きを自身で行う際に必要な書類や手順についてまとめてみました。

成年後見開始の申立て手続きは自分でできる?

結論から言えば、成年後見開始の申立て手続きは、専門家に依頼せずとも自身で行うことは可能です。

とはいえ、なにかと手続きが複雑で手間がかかることから、一般的には弁護士や司法書士といった専門家に依頼するケースがほとんどとなっています。

自分で申立てをする場合、専門家に依頼するよりも費用が安く済む一方で、書類の準備や手続きを全て自分で行わなければならないという難点もあります。

また申立てができる人は、本人や配偶者、4 親等以内の親族等に限られているので注意しましょう(本人が自分で申立てをするには、申立ての意味内容が理解できるだけの意思能力が必要です)。

後見開始の申立てを自分で行うために必要な書類を集める

後見の開始には、いくつか用意しなければならない書類があります。

ここでは必要書類について解説します。

申立書類一式を用意する

後見開始の申立てをするにあたり、本人の住所を管轄する家庭裁判所で申立書や申立事情説明書などの書類一式を取得しなければなりません。

なお申立書類は家庭裁判所から郵送してもらえるほか、ホームページからダウンロードすることもできます。

ただし、申立書類をダウンロードする際は、家庭裁判所ごとに様式が異なるため、必ず申立て先の家庭裁判所から取得するようにしましょう。

また住民票や戸籍謄本は、役所に出向いて取得する必要がありますが、本人と後見人候補者の関係性等によって取得する書類が異なるため、事前にしっかりと確認することをおすすめします。

上記に加え、通帳のコピーや残高証明書など、本人の財産状況がわかる書類を準備しておくほか、推定相続人の同意が得られる場合には同意書の用意なども済ませておくとスムーズです。

本人情報シートの作成を依頼する

家庭裁判所指定の申立書類を一式集めたら、普段本人の支援をしているケアマネージャーやケースワーカーなどの福祉関係者に本人情報シートの作成を依頼しましょう。

「本人情報シート」とは、本人の普段の生活状況を記載する書類のことで、家庭裁判所が本人の意思能力を判断するために活用されます(時には、医師が診断書を作成する際の参考資料として使われる場合もあります)。

なお、本人情報シートは必須ではないため、添付しなくても申立て自体は可能です。

診断書の作成を依頼する

成年後見の申立てには、医師の診断書が必要です(精神科医に作成してもらう必要はなく、かかりつけ医や近隣の内科等で構いません)。

そもそも、成年後見制度は意思能力の低下が見られるかどうかが判断の基準となっているため、家庭裁判所は医師が作成した診断書をもとに精神上の障害の有無や、意思能力の低下がどの程度であるかを確認し、後見・補佐・補助の判断を下します。

また、診断書には所定の書式が定められており、裁判所の後見ポータルサイト内「成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引」から「診断書書式」(Word 形式)のダウンロードが可能です。

作成費用は医療機関によって異なるものの、5,000 円から 1 万円程度が目安となっています。

家庭裁判所へ申立てをするために必要な手続き

成年後見開始の申立てに必要な書類が整ったら、いよいよ家庭裁判所へ申し立てるための手続きへと移ります。

ここでは、家庭裁判所に申立てをする際の手順についてまとめてみました。

家庭裁判所へ申立てをするために必要な手続き

家庭裁判所へ電話をして面接日の調整をする

家庭裁判所では、後見開始の申立てをするに至った事情を確認するため、申立人や成年後見人候補者に対し面接を行っています。

そのため、必要な書類の準備が整ったら管轄する家庭裁判所に電話で連絡し、面接日の予約をしましょう。

面接の所要時間はおおむね 1 ~ 2 時間程度になるため、スケジュールに余裕のある日に設定するようにしましょう。

また面接日は 1 週間以上先で、裁判所の状況によっては 2 週間以上先になることもあるので、申立て書類の準備に目処が立った時点で先に予約を入れておくとスムーズです。

家庭裁判所へ書類を提出する

面接の日程が決まったら、面接日時と予約番号を「提出書類確認シート」に記載します。

その後、同シートと申立書類一式・収入印紙・郵便切手を申立てをする家庭裁判所宛に発送します。

なお書類は、面接予定日の 3 営業日前までに到着するよう心がけましょう。

家庭裁判所への申立て手続きから後見開始までの流れ

家庭裁判所への申立て手続きから後見開始までの流れは、主に次の通りです。

  1. 審理が行われる
  2. 審判が下される
  3. 後見人や後見監督人の選任・登記手続きが行われる
  4. 後見が開始される

それぞれについて見ていきましょう。

審理が行われる

書類の内容や面接でのやりとりをもとに、家庭裁判所において審理が開始されます。

審理では本人の精神鑑定が実施されることもあるほか、調査官による調査・親族への意向確認などがなされます。

また本人が裁判所に出向くことが難しい場合には、省略される場合もありますので、前もって確認しておくとよいでしょう。

審理が始まってから終局するまでの期間は裁判所の繁忙や審理内容によって異なるものの、おおよそ 2 カ月以内となるケースがほとんどです。

審判が下される

審理が終わると、これまでの申立書類や調査結果をもとに審判が下されます。

具体的には本人に成年後見人が必要であるかどうか、必要な場合は「後見」「保佐」「補助」のどこに該当するのかを判断されます(「保佐」や「補助」の場合は同意権や代理権の範囲も定められます)。

結果、後見が必要である場合には最も適任と思われる人が成年後見人に選任されます。

ただし審判に不服がある場合には、申立人や利害関係人は審判書が手元に届いてから 2 週間以内に限り、不服申立てが可能です。

また場合によっては、成年後見人を監督・指導する成年後見監督人が選任されることもあるので注意しましょう。

後見人や後見監督人の選任・登記手続きが行われる

後見の開始が決まると、家庭裁判所から法務局に対し後見登記の依頼が行われ、そこには後見人の住所氏名や権限などが記載されます。

後見登記は裁判所が依頼してから 2 週間程度で完了し、後見人に対して登記番号が通知されるので、通知された番号をもとに法務局で「登記事項証明書」を取得しましょう。

ここで取得した登記事項証明書は、預金口座の解約をはじめ本人財産の調査など後見人としての仕事を行う際に必要です。

また登記事項証明書は、最寄りの法務局の本局へ申請して取得しなければならず、支局や出張所は取得できません。

請求できる人も本人や本人の配偶者、本人の 4 親等内の親族、本人の後見人などに限られています。

なお手続き後、親族が後見人に選任された場合には裁判所から職務説明の案内が届きます。

成年後見人の手続きを自分で行う場合の注意点

家庭裁判所への申立て手続きから後見開始までの流れがわかったところで、成年後見人の手続きを自分で行う場合の注意点について見ていきましょう。

申立て費用は原則として申立人が負担する

法定後見にかかる申立て費用は、原則として申立人が負担することになります。

ただし、特別な事情がある場合には家庭裁判所に申立人以外の「関係人」に対して、申立て費用の負担を命ずること(費用負担命令)が可能です。

なお、申立てを支援した専門家(弁護士や司法書士など)に支払われる費用は費用負担命令の対象とならず、申立人が負担することになりますので注意しましょう。

また後見人に支払う報酬は、本人の財産から支払うことになっています。

申立てから後見開始まで数カ月かかる

個々の案件によって多少の違いは生じるものの、後見の申立てから後見開始の審判が下されるまでに、早くても 2 カ月以上かかります。

さらに、審判が確定し後見登記事項証明書を取得できるまでには、3 ~ 6 カ月ほどの期間が必要です。

財産管理に不安がある場合は、家族信託の利用も含め本人の意思能力が低下する前に他の対策を講じることはできないか考えておくとよいでしょう。

成年後見人の手続きを自分でする前にまずは相談を!

成年後見人の手続きを自分でする前にまずは相談を!

後見開始の手続きは自分で行えるものの、それ相応の手間や労力が生じることもまた事実です。

また、後見開始の申立てから実際に後見が開始するまでに数カ月を要することから、それを見越して準備をするなど、手続きがスムーズに進むように努めましょう。

今回は成年後見制度をご紹介しましたが、本人の意思能力が低下する前であれば「家族信託」を利用するという選択肢もあります。

成年後見制度よりも柔軟な財産管理や運用を行うことができ、任意後見制度との併用も可能です。

家族信託の組成が間に合うようであれば、この機会に家族信託の利用について検討してみてはいかがでしょうか。



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